弁護士高島秀行の資産を守り残す法律

資産を守り残すために事前に備える賢い法律利用方法

第277回 体外受精卵で生まれた子供の父親は誰? 

奈良家庭裁判所で
親子に関する珍しい判決が出されたので
ご紹介します。

夫婦で体外受精卵を作り保存しておきました。
その後夫婦は別居しましたが
妻は夫に無断で体外受精卵を使って
出産しました。
その後夫婦は離婚しました。
この場合、元夫は体外受精卵で生まれた子の父親となるのか
ということが
裁判で争われました。

もちろん、生物学的には、元夫の子供となります。
しかし、妻が別居をして、夫に無断で
体外受精卵を使用して子供を産んだことから
法律上、扶養義務などを負う父親となるのかが
争われたのです。

奈良家庭裁判所は、体外受精卵を使用して出産することについて
夫の同意が必要と判断しました。
そうなると、夫の同意なく体外受精卵を使用して出産をしたのだから
子供の父親ではなくなるとなりそうです。

しかし、夫の親子関係がないことの確認を求める訴えは
却下されてしまいました。
親子関係がないことの確認を求める訴えが却下されてしまったことから
結果的に親子関係があることになったのです。

なぜ、このようなことが起きるかというと
民法に婚姻中に生まれた子供は
夫婦の子供として推定されるという規定があるからです。
そして、この推定される子供との親子関係を否定するためには
夫が子供の出生を知ってから1年以内に
嫡出否認の訴えを起こさなければならないのです。

本件では、出生を知ってから1年以内に嫡出否認の訴えを起こさなかったことから
子供との親子関係は否定できないということになったというわけです。

妻が婚姻中に、自分の子ではない他人の子を産むということは
なかなかないかもしれませんが、
その万が一が起きたときは、
知ってから1年以内に訴訟を起こさないと自分の子供となってしまいます。
1年というのは日中仕事で忙しく働いていると
個人の揉め事の解決は後回しになってしまい
あっという間に経ってしまいます。

そういうことがあった場合は
直ぐに弁護士に相談してください。

あっという間に経過してしまいます
( 2017/12/19 00:00 ) Category 離婚 | トラックバック(-) | コメント(-)
プロフィール

弁護士 高島秀行

Author:弁護士 高島秀行
第一東京弁護士会所属
東京都港区虎ノ門で
高島総合法律事務所経営
昭和40年生まれ
昭和63年慶応義塾大学法学部
法律学科卒業
平成6年弁護士登録

著書
『訴えられたらどうする!!』
『相続・遺産分割する前に読む本』
『企業のための民暴撃退マニュアル』
『Q&A改正派遣法早わかり』

QRコード
QR