弁護士高島秀行の資産を守り残す法律

資産を守り残すために事前に備える賢い法律利用方法

第285回 セクハラの責任は親会社まで負うか 

先日、子会社の従業員が別の子会社の従業員にセクハラをした場合
親会社も責任を負うかということが争われた事件で
最高裁判決が出されました。

この事件、
一審では、そもそもセクハラがなかったと認定されましたが
控訴審では、セクハラが認定されたばかりでなく
雇い主である子会社と親会社にまで
セクハラの責任が認められました。

そして、最高裁では、
セクハラは認められ、
セクハラをした子会社の従業員と
雇い主である子会社には
セクハラの責任が認められましたが
親会社にはセクハラの責任がないとされました。

親会社の責任の有無がわかれたポイントは何か
説明します。

高裁は、法令順守体制を整えて相談窓口まで
設けていたのだから、
相談があったら、相応の対応をすることが
必要だったのに
親会社はそれをしなかったから
責任があると判断しました。

これに対し、最高裁判決は
単に相談があったのに、
相応の対応をしなかっただけでは
責任は発生しないと判断しました。
具体的には、
本件の相談内容であるセクハラは
被害者である従業員が子会社を退職後に、
かつ、事業場外で行われたもので、
加害者である従業員の職務に直接関係するとは
思われないこと、
しかも、親会社に申し入れがされたときは
加害者である従業員と
被害者である従業員は
同じ職場では働いておらず
セクハラが行われてから
8カ月以上経過していたことなどから
セクハラの相談を受けた際に
事実確認の対応をしなかったからと言って
損害賠償責任を負うほどの義務違反はなかった
と判断しました。

最高裁も、
子会社の従業員のセクハラについて
親会社は常に責任を負わないと
言っているわけではありません。

子会社の従業員同士のセクハラであっても
親会社は法令順守体制を整えて窓口を設けた以上
従業員が在職中に、
グループ会社の事業場内で
セクハラが行われたという相談が来た場合には
何らかの対処をしないと
親会社だから関係ないとは言えない
と判断される可能性が高いと思います。


( 2018/02/20 00:00 ) Category 企業法務 | トラックバック(-) | コメント(-)
プロフィール

弁護士 高島秀行

Author:弁護士 高島秀行
第一東京弁護士会所属
東京都港区虎ノ門で
高島総合法律事務所経営
昭和40年生まれ
昭和63年慶応義塾大学法学部
法律学科卒業
平成6年弁護士登録

著書
『訴えられたらどうする!!』
『相続・遺産分割する前に読む本』
『企業のための民暴撃退マニュアル』
『Q&A改正派遣法早わかり』

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