弁護士高島秀行の資産を守り残す法律

資産を守り残すために事前に備える賢い法律利用方法

第291回 定年後の再雇用で給料75%減額は違法 

またもや労働事件での判決が出ました。
今回は、定年後の再雇用の際に
給料を下げられるかという問題についての判決です。

報道によりますと
食品会社が定年を迎える従業員に
再雇用の条件として
約75%減額した給料とすることを提案しました。

これに対し、従業員は
再雇用の際の給料引き下げが違法であり
不法行為に該当するとして
従業員としての地位の確認や働いていれば得られた給料分の賠償や
慰謝料を請求して、訴訟を起こしました。

これに対し、一審の福岡地裁小倉支部は
原告の請求は、全く認めませんでした。
しかし、福岡高裁は、
65歳までの雇用の確保を企業に義務付けた高年齢者雇用安定法の趣旨を考えると
定年前と再雇用後の労働条件に不合理な相違が生じることは許されない
と指摘して、今回の会社の提案は
生活への影響が軽視できないほどで、高年齢者雇用安定法の趣旨に反し
違法だと判断しました。
そして、慰謝料100万円の支払いを認めました。
ただ、定年後の雇用については合意に至らなかったため
従業員としての地位や働いていれば得られた給料分の請求などについては
認めませんでした。

一見、この判決は、会社に不利な判決のようにも読めます。
しかし、判決の結論に従えば
慰謝料として100万円を支払う必要はあるけれども
低額の給料に合意しなければ再雇用しなくてもよい
とも読むことができます。

そうだとすれば、高年齢の従業員を再雇用したくないときは
低額な給料を提案して、慰謝料の支払いで解決するという
方法も考えられなくもありません。

これらについては、会社側はよく検討する必要がありそうです。

( 2018/04/03 00:00 ) Category 企業法務 | トラックバック(-) | コメント(-)
プロフィール

弁護士 高島秀行

Author:弁護士 高島秀行
第一東京弁護士会所属
東京都港区虎ノ門で
高島総合法律事務所経営
昭和40年生まれ
昭和63年慶応義塾大学法学部
法律学科卒業
平成6年弁護士登録

著書
『訴えられたらどうする!!』
『相続・遺産分割する前に読む本』
『企業のための民暴撃退マニュアル』
『Q&A改正派遣法早わかり』

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