弁護士高島秀行の資産を守り残す法律

資産を守り残すために事前に備える賢い法律利用方法

第300回 意外に難しいアメフト事件における日大の危機管理対応 

日大アメフト部の選手が
試合中に相手のクォーターバックを
故意にケガをさせようとして
プレーが終わってから
タックルをした問題で、
日大という大学本体の危機管理が
非難を浴びています。

不祥事が起きた場合、
被害者のいる不祥事と
被害者のいない不祥事とがあります。
被害者が自分あるいはいない不祥事の場合
被害者の立場を気にする必要はありません。

そこで、どういう事実があったのか、どういう経緯で起きたのかなどは
第三者委員会である程度時間をかけて調査し
結果を発表するということで、問題はないと思います。

しかし、今回のような被害者のいる不祥事の場合、
被害者に謝罪をしなければなりません。
謝罪をするのに、どういう事実経過で被害を与えてしまったのかということが
確定していなければ謝罪はできない(相手方は納得しない)わけです。

今回のケースでは、
日大の監督は試合中の加害行為について指示していないと、
自らの責任を軽くしようとしています。

組織としての大学は、監督の言い分が正しければ
その言い分に乗った方がよいわけで、
それにもかかわらず、大学に不利な主張を裏付ける証拠を集めた上で
大学に不利な事実を認めて謝罪するということは
大変なことです。
しかも、これらの手続きは迅速にやらなければなりません。

組織でも、人間でも、自分に有利なことであれば
迅速に対応することは可能ですが
自分に不利なこと、嫌なことは
なかなか迅速に対応することは難しいです。

しかし、今回のケースは、被害者がいて、
しかも試合の映像は公開されていたのですから
その映像などの証拠に沿うような形で
事実関係を把握したうえで、
謝罪する必要があったということになります。

第三者に調査を依頼するのはいいですが
期限を3日以内とすることなどが必要だったと思います。

また、加害選手と監督の言い分の違いについて
どちらが信用できるかについては
試合の映像や加害選手が反則し退場させられたことについて
監督が試合中選手に対し何もしなかったことから
加害選手の言い分の方が正しいと判断するのが通常だと思います。

被害者への謝罪等について
加害行為の原因であると思われるけれども
責任を軽減しようとしている監督に任せていた
ということが、対処の大きな誤りであったと思われます。

そういう意味で、日大の経営者は
危機管理対応を誤ったと言えるでしょう。

しかし、実際に会社において同様のことが起きたら
どうでしょうか。
担当取締役が「自分はやっていない。」と主張している場合に
それを否定し、加害行為を認めて相手に謝罪するということが
できるでしょうか。

財務省のセクハラ問題も同じような問題でした。

やっていないという言い分の方が正しいかもしれないし、
また、その言い分に乗った方が自分たちも責任がなくなるという場合に
迅速に事実関係を調査し、自分に不利益な事実を認め
謝罪するというのは、
言うのは簡単ですが、実際に行うのは難しいと思います。






( 2018/06/05 00:00 ) Category 企業法務 | トラックバック(-) | コメント(-)
プロフィール

弁護士 高島秀行

Author:弁護士 高島秀行
第一東京弁護士会所属
東京都港区虎ノ門で
高島総合法律事務所経営
昭和40年生まれ
昭和63年慶応義塾大学法学部
法律学科卒業
平成6年弁護士登録

著書
『訴えられたらどうする!!』
『相続・遺産分割する前に読む本』
『企業のための民暴撃退マニュアル』
『Q&A改正派遣法早わかり』

QRコード
QR