弁護士高島秀行の資産を守り残す法律

資産を守り残すために事前に備える賢い法律利用方法

第334回 全額ローンで物件を購入できるからくり 

前回、第333回 家賃保証前提の不動産投資には要注意
サブリース(家賃保証)の注意点をお話ししました。
その際に、業者は、頭金なしの全額ローンでの購入という提案を
してくるということを話しました。
今回はそのことについて、ご説明します。

通常銀行は、不動産の購入資金を全額は貸しません。
購入する不動産の価格は、
将来、借入金の返済の不払が起きたときに下がっているかもしれないし、
借主が不払事故を起こせば、延滞金や利息が付くので
担保価値に余力を見ないとその分までは回収できないということもあります。

また、一定の自己資金を持っていることは、
借主の信用(自己資金を貯めることができた)にもなります。

以上のようなことから、自己資金が物件購入価格の2割から3割ないと
不動産を購入できないのが普通です。

それにもかかわらず、不動産業者が全額ローンで購入できるというのは
どうしてでしょうか。

1つは、売買契約書を2つ作り、物件価格を実際の金額よりも高いと銀行に思わせる
という方法があります。
もう1つは、頭金を銀行以外の貸金業者に借りさせるという方法があります。

頭金を銀行以外の貸金業者に借りさせるという方法は
法律上は問題ありませんが、
売買契約書を二つ作り、売買の価格を実際の価格より高いと思わせることは
銀行に対する詐欺となる可能性があります。
また、借り入れの際に、自己資金や収入がもっとあるように偽る場合もあります。
これも詐欺となる可能性があります。

借主が知らない場合は、借主が詐欺に問われることはないかもしれませんが
借主と不動産業者がグルでやっていたと判断されれば借主は詐欺に問われる可能性があります。

また、このように、自分の収入に見合わない過大なローンを組んでしまうと
賃料が最初の想定よりも下回ってしまえば、
直ちに返済に行き詰ってしまうということにもなります。

したがって、全額ローンで購入できるといううたい文句の不動産投資は
気を付けた方がよいと思います。

スルガ銀行その他地方銀行などで、
同様の不動産投資のためのローンが組まれ
社会問題化したので
今は不動産投資に対するローンの審査は
厳しくなりました。
ローンの貸付限度額も少なくなっています。
そこで、今後は、全額ローンで購入できるということは
無いと思いますが、
そのような話を持ってくる業者には要注意です。



( 2019/02/19 00:00 ) Category 不動産 | トラックバック(-) | コメント(-)
プロフィール

弁護士 高島秀行

Author:弁護士 高島秀行
第一東京弁護士会所属
東京都港区虎ノ門で
高島総合法律事務所経営
昭和40年生まれ
昭和63年慶応義塾大学法学部
法律学科卒業
平成6年弁護士登録

著書
『訴えられたらどうする!!』
『相続・遺産分割する前に読む本』
『企業のための民暴撃退マニュアル』
『Q&A改正派遣法早わかり』

QRコード
QR