弁護士高島秀行の資産を守り残す法律

資産を守り残すために事前に備える賢い法律利用方法

第346回 改正相続法施行は今年の7月1日から(改正相続法1) 

先週は、民事執行法に関する改正について
お知らせしましたが、
今回は、相続法(民法)の改正についてです。
相続法が改正された話は、
以前ちょっとしましたが、
改正された相続法が今年の7月1日から
施行されます。

7月1日以降に発生した相続からは
新しい法律が適用されることとなります。

今回から何回かに分けて改正相続法について
説明します。
民法は、相続法の分野だけでなく
債権法も改正されましたが
施行されるのは相続法の方が早いということになります。
改正債権法についても
施行される直前にお話ししようかと思います。

まず、今回は、遺留分について説明します。
遺留分というのは、簡単に言うと、兄弟以外の相続人に認められる
最低限保障される相続分のことです。
兄弟姉妹には遺留分はありません。

相続人が親あるいは祖父母など直系尊属のみのときだけ法定相続分の3分の1で
他の配偶者、子供は法定相続分の2分の1となります。

この遺留分の制度が大きく変わりました。
今までは、遺留分は、原則として持ち分でもらう権利でした。
Aさんの相続人が長女X、長男Yだとして
Aさんが長男Yに遺産を全部相続させる旨の遺言を書いていたとします。

遺産が2000万円の土地の場合、
長女Xの遺留分は4分の1ですから
遺留分を請求するときには
これまでは
長女Xは土地の4分の1の持ち分の名義を変更するよう請求する
こととなっていました。

ところが、今回の改正で、
遺留分は、原則としてお金に換算して請求することとなりました。
上記の例で言うと、
長女Xは、4分の1である500万円を遺留分として請求できる
ということになります。

今回の改正で、土地や株なんかよりお金が欲しいという方には
便利な制度になりました。
今まではお金が欲しいと思っても、遺留分を請求される側がお金で払うか
物の持ち分で渡すかを決められたので、お金を請求することができませんでした。
そこで、これまでは、遺留分の行使によって共有持ち分を取得して
その後に共有物分割請求をして、お金に変えるという2回の請求をしていました。
それが今回の改正で1回の裁判でお金を取得することができるようになったので
お金が欲しい方には便利になったということです。

しかし、逆に、お金でなく、土地の持ち分や株式の持ち分で欲しいと思っていた方には
残念な結果となってしまいました。
今回の改正では、遺留分はお金でしか請求ができなくなってしまったからです。
ただ、これまでも、遺留分は相手からお金で払うと言われた場合は
お金しか請求はできませんでした。
それを考えると、遺留分には
もともと土地の持ち分や株の持ち分でもらう権利はなかったとも言えますので
変わりはないとも言えます。

遺留分をお金で支払う側からすると
遺産に預金がないと
なかなか遺留分を支払う現金が用意できないということもあります。
そこで、今回の改正では、お金の支払いを猶予する制度もできました。
どういう場合にどれくらいの期間猶予されるのかは今後の運用ということになると思いますが、
支払う側の資金繰りを考慮するということになります。

今回の改正では、この遺留分が大きく変わりました。注意してください。

( 2019/05/21 00:00 ) Category 相続・遺産分割 | トラックバック(-) | コメント(-)
プロフィール

弁護士 高島秀行

Author:弁護士 高島秀行
第一東京弁護士会所属
東京都港区虎ノ門で
高島総合法律事務所経営
昭和40年生まれ
昭和63年慶応義塾大学法学部
法律学科卒業
平成6年弁護士登録

著書
『訴えられたらどうする!!』
『相続・遺産分割する前に読む本』
『企業のための民暴撃退マニュアル』
『Q&A改正派遣法早わかり』

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