弁護士高島秀行の資産を守り残す法律

資産を守り残すために事前に備える賢い法律利用方法

第348回 婚姻期間20年以上の配偶者に対する居住用不動産の贈与等の優遇措置(改正相続法2) 

改正相続法の説明の第2回目です。
前回は、改正相続法では、遺留分の制度が変わったという
お話をしました。

第346回 改正相続法施行は今年の7月1日から(改正相続法1)

今回は、婚姻期間20年以上の配偶者に対する居住用不動産の贈与等の優遇措置について
お話しします。

タイトルが長いですが、内容は、婚姻期間20年以上の配偶者、即ち夫や妻に
居住用不動産を贈与や遺贈をすると優遇措置が受けられるということになります。

どのような優遇措置なのか説明します。
優遇措置とは、持ち戻しの免除の推定がされるということとなります。

具体的にどういうことか説明します。

Aさんには、妻Bと子供CDがいました。
Aさんは、自宅(評価額2000万円)を妻Bに贈与の特例を使って
生前贈与をしました。
Aさんが亡くなった際に、預貯金が6000万円残されていました。

法律が改正される前は、この場合、自宅の生前贈与は特別受益となり
遺産に加えて相続分を計算することとなりますから
遺産は預貯金6000万円+自宅2000万円=8000万円
となります。
そして、法定相続分は、妻B2分の1、子供C4分の1、子供D4分の1となりますから
取得する遺産は、妻B4000万円、子供C2000万円、子供D2000万円となります。
妻Bは既に自宅2000万円をもらっていますから、BCDは預貯金6000万円を
2000万円ずつ分けるということになります。

ところが、改正相続法では、特別受益の持ち戻しを免除することが推定されていますので
持ち戻しを免除しないことを示す証拠がない限り、
持ち戻しが免除されることとなります。
持ち戻しとは、先ほどの例で、生前贈与された自宅を遺産に加えて相続分を計算したことです。
持ち戻しが免除されるとは、生前贈与された自宅を遺産に加えずに相続分を計算してよいということです。

そうなると、前記の例では、遺産は6000万円となり、
妻B2分の1、子供C4分の1、子供D4分の1となりますから
妻Bは、預貯金を3000万円、子供C、Dは預貯金を1500万円ずつ相続する
ということとなります。

妻Bは、改正される前の相続法によれば
自宅と預貯金合わせて4000万円しか受け取れませんでしたが
改正相続法によれば
自宅と預貯金を合わせて
5000万円を受け取ることが可能となるということです。

これが、婚姻期間20年以上の配偶者に対する居住用不動産の贈与等の優遇措置となります。

この優遇措置は、婚姻期間20年委以上の配偶者に、生前贈与や遺言書を書かないと
受けられませんので、亡くなった配偶者が残された配偶者に対し生前贈与するか
遺言書を生前に書いておく必要があります。

また、贈与や遺言の対象は居住用不動産ですから
賃貸アパート等は、対象になりませんので、注意が必要です。

住居兼店舗や住居部分がある賃貸マンション等は全部が持ち戻し免除がされるのか
住居部分だけ持ち戻しが免除されるのか、意見が分かれますので
裁判で争われることになると思います。








( 2019/06/04 00:00 ) Category 相続・遺産分割 | トラックバック(-) | コメント(-)
プロフィール

弁護士 高島秀行

Author:弁護士 高島秀行
第一東京弁護士会所属
東京都港区虎ノ門で
高島総合法律事務所経営
昭和40年生まれ
昭和63年慶応義塾大学法学部
法律学科卒業
平成6年弁護士登録

著書
『訴えられたらどうする!!』
『相続・遺産分割する前に読む本』
『企業のための民暴撃退マニュアル』
『Q&A改正派遣法早わかり』

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