弁護士高島秀行の資産を守り残す法律

資産を守り残すために事前に備える賢い法律利用方法

第354回 特別の寄与の制度が創設されました(改正相続法8) 

今回の相続法改正では、
被相続人の配偶者の権利強化がなされているという話をしました。

今回は、被相続人の配偶者ではなく
相続人の配偶者などの権利が強化されたという話です。

被相続人の療養看護に務めてきた方については
相続人であれば寄与分の主張ができました。
しかし、例えば長男の妻などが被相続人の療養看護に務めてきたとしても
相続人ではないので、寄与分の主張は認められませんでした。

これについて、改正相続法では、相続人でない者が被相続人の療養看護に務めたときは
相続人に対し、金銭の請求ができることとしたのです。

これを「特別の寄与」と言います。

ただ、療養看護について、特別の寄与が認められるのは
容易ではありません。
相続人が被相続人を療養看護した場合でも
寄与分が認められることは簡単ではなかったからです。

特別の寄与が認められるには
以下の要件が必要とされています。
1 療養看護の必要性
  病気などにより、看護がないと生活ができないような状況であることが必要となります。
  病院や施設に入っていた場合は、病院や施設が生活に必要な看護をしていると思われますので
  療養看護の必要性があったとは言えなくなります。
2 特別な貢献
  金銭を支払うことが相当であると認められるくらいの特別な貢献が必要と言われています。
3 無償性
  対価を得ていなかったことが必要です。
  一緒に生活をしていて生活費を出してもらっていたような場合は無償性が認められない可能性があります。
  無償での看護であるから遺産の中から特別の寄与として金銭を支払うこととなります。
4 継続性
  一時的なものではなく相当期間に及ぶ必要があると言われています。
  1年以上が目安と言われています。
5 専従性
  仕事をしながらした場合には、特別の寄与とは言えない場合が多いと言われています。
6 財産の維持または増加との因果関係
  看護があったから、ヘルパー等に支払いをせずに済んだから遺産が残ったと言える必要があります。

以上のように、特別の寄与の制度が創設されたので
簡単に療養看護の費用が請求できると思われている方もいらっしゃるかもしれませんが
そうはならない可能性があります。
裁判所がどの程度の療養看護にどの程度の金額を認めるかは
今後の判例によるということとなります。 
( 2019/07/16 00:00 ) Category 相続・遺産分割 | トラックバック(-) | コメント(-)
プロフィール

弁護士 高島秀行

Author:弁護士 高島秀行
第一東京弁護士会所属
東京都港区虎ノ門で
高島総合法律事務所経営
昭和40年生まれ
昭和63年慶応義塾大学法学部
法律学科卒業
平成6年弁護士登録

著書
『訴えられたらどうする!!』
『相続・遺産分割する前に読む本』
『企業のための民暴撃退マニュアル』
『Q&A改正派遣法早わかり』

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