弁護士高島秀行の資産を守り残す法律

資産を守り残すために事前に備える賢い法律利用方法

第355回 吉本興業の芸人は従業員か? 

吉本興業の芸人が、
吉本興業を通さずに受けた仕事が
反社会的勢力関係者からの仕事だった可能性があった
ということに端を発し、
吉本興業と芸人間でトラブルとなっています。

そもそも、芸人が吉本興業を通さずに仕事を受注した行為(いわゆる「闇営業」)は
適法なのかということが問題となります。

通常の会社では、従業員が会社の業務を個人で受注したら
背任罪となる可能性がありますし
会社との競業禁止義務違反となる可能性があります。

しかし、吉本興業と芸人との間では、雇用契約ではなく
マネジメント契約が結ばれているに過ぎないのです。
そもそも吉本興業と芸人は、口頭の契約で文書では契約を結んでいないので
その契約内容はよくわかりません。
ただ、吉本興業は今回の件で、芸人に対し、マネジメント契約の解除の通知をしているので
マネジメント契約だと思われます。
そして、マネジメント契約というタイトルからは
芸人が吉本興業に対し、芸人の仕事のマネジメントを委託している契約という
内容だと推測されます。

もし、吉本興業と芸人との関係が、マネジメント契約だとすれば
通常であれば、芸人が何の仕事をどこから受注しようが自由であるというのが原則です。
仕事は全部吉本興業を通さないといけないという内容である可能性もありますが
そうだとすると、芸人は吉本興業に専従していると判断される可能性があり
吉本興業の従業員と判断されてしまう可能性があります。

芸人が吉本興業の従業員と判断されると何がまずいと言えば
吉本興業は契約している全ての芸人に対して、仕事がなくても最低賃金を保証しなければなりません。
おそらく、このことを避けるために吉本興業は芸人との間で契約書を結ばず
さらに雇用契約ではなく、マネジメント契約と言っていると思われます。

今回、社長が芸人をクビにすると言ったようなことが報道されていますが
クビにするということを言うこと自体、実は、マネジメント契約ではなく
雇用契約を前提とした表現だと思います。

吉本興業の問題は、芸人との関係が実質的には雇用関係に近いにもかかわらず
雇用ではないとしていることから、生じている可能性があります。



( 2019/07/23 09:30 ) Category 企業法務 | トラックバック(-) | コメント(-)
プロフィール

弁護士 高島秀行

Author:弁護士 高島秀行
第一東京弁護士会所属
東京都港区虎ノ門で
高島総合法律事務所経営
昭和40年生まれ
昭和63年慶応義塾大学法学部
法律学科卒業
平成6年弁護士登録

著書
『訴えられたらどうする!!』
『相続・遺産分割する前に読む本』
『企業のための民暴撃退マニュアル』
『Q&A改正派遣法早わかり』

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