弁護士高島秀行の資産を守り残す法律

資産を守り残すために事前に備える賢い法律利用方法

第46回 生命保険は遺産でしょうか 

世の中、残された家族にお金を残すために、
生命保険に加入している人は多いです。
したがって、誰かが亡くなった場合、
生命保険が払われるケースが多いです。

そして、
この生命保険契約に基づく保険金が遺産なのか、
保険金を相続人のうちの1人だけが
受取人として受け取った場合
他の遺産の分け方はどうなるのか
争いになるケースも多いのです。

まず、生命保険が遺産だと思っている人は多いです。
それは、控除はあるものの相続税の対象となるので、
相続税の申告上は遺産として取り扱われるからです。

しかし、相続や遺産分割の場面では、
遺産ではありません。
最高裁判例で、保険金は生命保険契約に基づいて
受取人に支払われるもので、
受取人のものとされているからです。

したがって、生命保険は、
受取人が決まっている場合は、
遺産分割の対象とはなりません。

ただし、受取人が決まっていない場合、
あるいは受取人が相続人とされていた場合には、
相続人が受取人となりますので、
相続人間で分けることとなります。

生命保険が、
受取人が決まっている場合には遺産にならないとして、
1人だけ生命保険を受取人として受け取った場合、
どのような処理をすべきでしょうか。

例えば、父親Aさんが死亡して、
遺産が合計6000万円あり、
相続人がXYZの3人兄弟で、
生命保険3000万円の受取人が長男Xとなっていた場合、
どのように分けるべきでしょうか。

Xは生命保険3000万円を受け取っていますので、
残り6000万円をYとZで分けるというようにも
考えられます。

しかし、判例上は、お話ししたとおり、
生命保険は遺産ではないので
遺産分割の対象とはなりません。

また、前回お話しした
特別受益にもならないとされています。

したがって、
長男Xは3000万円の生命保険を受け取った他に、
遺産である6000万円のうち、
3分の1である2000万円を相続することができます。

ただし、判例上は、
あまりにも公平を欠く場合には
特別受益に準じて取り扱うとされているので、
極端に生命保険を受け取った相続人だけが多くて
他の相続人は全く取り分が無いようなケースでは、
特別受益として取り扱われる可能性はあります。

しかし、上記設例では、
YもZも法定相続分の2分の1である
遺留分額1500万円以上の2000万円は
相続することとなるので、
判例の示す例外には当たらないと考えます。
( 2013/07/09 00:00 ) Category 相続・遺産分割 | トラックバック(-) | コメント(-)
プロフィール

弁護士 高島秀行

Author:弁護士 高島秀行
第一東京弁護士会所属
東京都港区虎ノ門で
高島総合法律事務所経営
昭和40年生まれ
昭和63年慶応義塾大学法学部
法律学科卒業
平成6年弁護士登録

著書
『訴えられたらどうする!!』
『相続・遺産分割する前に読む本』
『企業のための民暴撃退マニュアル』
『Q&A改正派遣法早わかり』

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